中の人が語る「年賀状思い出大賞」[後編]

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挨拶状ドットコムの公募企画担当です。今回は「年賀状思い出大賞」を語る連載企画。企画を立ち上げた経緯や取り組みをご紹介した前編に引き続き、後編では、先日受賞作品が決定したばかりの第14回・年賀状思い出大賞を含め、過去のイチ押し受賞作品をいくつかご紹介します。是非、味わって読んでいただけると嬉しいです。

背中を押す言葉

まずは、決定したばかりの第14回「大賞」となる角村さまの作品から。
年賀状を通して、毎年おばあちゃんが孫にエールを送るという内容で、孫を気遣うおばあちゃんの純粋さと、それを受け止める作者の素直さが感じられる作品になっています。

おばあちゃんの言葉が「導いてくれるもの」から「背中を押してくれるもの」へ変化したと感じた作者の感受性が素晴らしく、たくましい成長のさまが窺えます。それもそのはず、実はこの作品の作者はまだ中学2年生とのこと。今まさに心身ともに成長している中にあって、それが作品にもポジティブな言葉として表れたのではないか・・・そんな風に思います。

年賀状思い出大賞のみならず、某国民的人気アニメでもそうですが、おばあちゃんと孫のストーリーって良いですよね。おばあちゃんは無償の愛で包み込んでくれるし、孫もおばあちゃんの期待に応えようと頑張る。素直さを忘れてしまいがちな私たち大人にとって、大切なことに気づかせてくれる処方箋のようなエピソードが多く、感動でついウルウルときてしまいます。

涙あふれる愉快な年賀状

次にご紹介するのは、第4回の「大賞」を受賞した黒川さまの作品。
牧場で動物の世話をしながら学校に通っていた作者に対して、お母さんが送った50通もの年賀状が印象的なエピソードになっています。

私はこの作品を審査の過程で初めて読んだのですが、ずっと涙が止まりませんでした。そして、今も読み返す度に涙ぐんでしまいます。それくらい過去の受賞作品の中で最も心揺さぶられたエピソードのひとつです。

何が胸に刺さったのか、それはもちろん、お母さんの「深い愛情」を感じたからです。ご両親にとって娘さんを全く別の環境に置くこと自体、相当に勇気のいる決断だったでしょうし、心配で仕方なかったと思います。それでも一番不安なのは本人だろうと、50通もの愉快な年賀状で娘さんを元気付けようとしたそのいじらしさ、優しさ、思いやりに感動しました。

娘さんのためにどんな思いで一枚一枚に絵を書いていたのか、どんな願いを年賀状に込めたのかを想像するだけでウルウルときてしまいます(泣) 私も子供のいる身。親の子を思う気持ちはよくわかりますし、お母さんのその心情を悟った作者にも心打たれます。

以前に言語学者の金田一秀穂さんが、「絆という言葉は切っても切れない結びつきを指す。例えば親子の関係がそう」と言われていました。まさにこのエピソードは親子の絆そのものですね。

天国からの年賀状

続いて、第6回「挨拶状ドットコム賞」を受賞した道田さまの作品も印象的でした。
親友が亡くなる直前に作者に送った一枚の年賀状には、最後のお別れと作者を気遣う言葉が綴られていて、その内容に心打たれるエピソードです。

小さいお子さんを残して旅立つ親友の無念さを考えると、胸が引き裂かれる思いですが、旅立つご本人のユーモラスでポジティブな言葉に不思議と救われる気持ちになります。

どのような気持ちで年賀状にメッセージをしたためたのでしょう。不安、悲しさ、くやしさ、やるせなさがあったのではないでしょうか。にも関わらず、全てを受け入れ、大切な人のことを思いやる・・・。なかなかできることではないですよね。

この作品からは人の根幹にある強さと優しさを感じますし、人の思いは人へと受け継がれていくことを教えてくれています。

おーい!散歩に行こうか!

年賀状思い出大賞には夫婦間のエピソードもたくさんあります。
第10回の佳作に選ばれた西田さまの作品も、そんな数ある内のひとつです。

作者の元に届いた奥さんからの年賀状。そこに書かれた素敵な目標がさりげないのにとても新鮮で、ご夫婦の仲の良さがうかがえる微笑ましいストーリーです。
最後の奥さんへの台詞も爽やかなシーンが浮かんできて、今後の明るい未来を感じさせます。毎日のさりげない日常こそが幸せな時間なのかもしれませんね。

私はまだ子供に手がかかるし、仕事も忙しく、妻と会話する時間もほとんどない状況ですが、いつかこんな風に夫婦で過ごす穏やかな時間がやってくるのでしょうか・・・。この作品を読んでそれも悪くないなと思いました。家族に年賀状を送ってみるのも面白そうです。皆さんはどのように感じましたか?

人を軸にした物語

お気に入りの受賞作品をいくつかご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
年賀状思い出大賞は、年賀状を軸とした物語と思われがちなのですが、本当は人を軸とした物語なんです。なので、人の思いやりや温かさだけでなく、思いを伝えることの大切さにも気づくことができます。

私たちも、年賀状やはがきでそのお手伝いをさせていただき誇りに思いますし、毎年お届けする商品の中に笑顔の家族写真を見つけると、「このはがきがきっと誰かを元気にするんだろうなぁ」と自分ごとのように嬉しくなります。

これからも「年賀状思い出大賞」で人の温かさを知っていただきつつ、「挨拶状ドットコム」で人の思いを届けるサービスを続けていきますので、応援よろしくお願いします!

最後に少しだけ告知です。
現在「年賀状思い出大賞」では第15回の作品を募集中です。年賀状にまつわるエピソードをお持ちの方は、こちらからご応募ください。お待ちしています♪

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