年賀状を書きたいけれど、気の利いた一言が思い浮かばない、ということはありませんか。年賀状1つといえども、相手の立場や状況に対する配慮が足りなかったために、相手に不快な気持ちを与え、疎遠になってしまうこともあります。この記事では、年賀状の基本的な書き方の他、相手に合わせたメッセージの書き方、初めの挨拶と一言メッセージの文例など、正しい年賀状を送るために必要な情報をまとめてご紹介します。
年賀状の基本の「き」
受け取る人の名前や住所などの宛名を書く面を「表面」や「宛名面」、伝える内容を書く面を「裏面」や「文面」といいます。「宛名面」と「裏面」には、それぞれ書き方のルールがあります。ここれはそれぞれについて詳しく見ていきましょう。
宛名面の書き方:受け取り手と差出人の住所、氏名をバランスよく配置
年賀状の宛名面は、受け取った相手が読みやすいように、住所・氏名をバランスよく配置しましょう。住所・氏名は、それぞれ下記のポイントに気を付けて記載します。
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①宛名面の「縦書き・横書き」は、裏面のレイアウトに合わせる
年賀状だけでなく、はがきの表裏は「縦書き・横書き」を統一します。裏面が縦書きなら表面も縦書きに、というようにレイアウトを合わせることで、受け取った相手がストレスなく読むことができるからです。
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②住所は2行以内に収める
住所は、できるだけ2行以内に収まるように書きます。取引先や目上の方に送る際は、都道府県名から書き始めましょう。番地の数字は、縦書きの際は「漢数字」、横書きの際は「アラビア数字」で書き、全体的に統一します。
住所の1行目には、都道府県~番地を書き、2行目にアパート、マンション、ビル名などを書きます。2行目は、1行目よりも一回り小さい文字で、住所の書き出しの高さより少し下げて書き始めるとバランスがとれます。アパート名やマンションの名称は、省略せずに記載しましょう。 -
③氏名は中央に大きく書く
相手の氏名は、はがきの中央に大きく書きます。氏名の前に社名や部署名を書く場合は、社名や部署名を少し右の位置にずらして書き、氏名が中央にくるようにしましょう。複数の人に対して送る場合は、それぞれの名前の下に敬称を付けます。人数が多い場合は、「〇〇御一同様」とすることも可能です。
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④差出人部分は新情報を分かりやすく記載する
縦書きの場合、差出人の住所氏名は、切手の幅か差出人の郵便番号枠の幅に収まるように書きましょう。引っ越しや転勤に伴い住所が変わった場合は、その旨を一言書き添えておくと親切です。出産などで家族が増えた際は、新しい子どもの名前にふりがなを付けましょう。
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⑤敬称と御中を使い分ける
敬称とは、差出人(自分)と相手との関係を表し、相手に対する敬意を示すものです。一方、肩書きとは、会社や団体などの組織の中で地位を表すものであって、相手を敬う意味は含まれていません。
会社や団体などに属する個人に宛てて出す際は、個人名の後のみに敬称を付けます。会社や団体の部署に宛てて出す際は、会社名・団体名の後に「御中」を用います。- 〇〇株式会社 〇〇部 部長 山田太郎様
- 〇〇株式会社御中
- 〇〇株式会社 〇〇部御中
裏面の書き方:5つの要素で構成されている
年賀状の裏面は、以下の5つの要素を取り入れて書きます。
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①賀詞
最初に、新年を祝う言葉である「賀詞」を太字で大きめに明記します。
- ・「謹賀新年」
- ・「あけましておめでとうございます。」
- ・「賀正」「賀春」「迎春」「慶春」
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②日頃からのお付き合いに対する感謝や挨拶
次に、お世話になったことに対する感謝や、年を越したことを慶ぶ言葉を書きます。さらに、近況報告をするのもいいでしょう。
- ・「旧年中は大変お世話になりました」
- ・「ご家族おそろいで幸多き新春をお迎えのこととお喜び申し上げます」
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③相手の健康や繁栄、幸せを願う言葉
次に、文章を読んだ相手の気持ちが温かくなるような言葉を添えます。相手の「健康」や「繁栄」、「幸せ」を願うキーワードを含めます。
- ・「皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます」
- ・「貴家御一同様のますますのご繁栄を祈念いたします」
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④今後の指導や支援をお願いする言葉
次に、今後のお付き合いや、ご指導や支援をお願いする言葉を書きます。
- ・「本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。」
- ・「本年もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。」
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⑤年号・日付、住所・氏名
最後に、「年号」「日付」「住所」「氏名」の4点を明記します。日付は元号でも西暦でも問題ありません。郵便番号も忘れずに書きましょう。
- ・令和〇〇年元旦
- ・20XX年1月1日
裏面を書くときに気をつけたいポイント
裏面は、TPOと相手に合わせ、「縦書きと横書きのどちらにするか」「写真の有無」を決めましょう。年賀状は1年の初めの挨拶のため、マナーを守って書くことが大切です。
ここでは、
- TPOに合った書き方
- 正しい賀詞の使い方
- 送る相手に合ったメッセージ
上記の3点について解説します。
縦書きと横書き、写真の有無はTPOを考えよう
日本語は、本来縦書きが正しいとされていますが、現在は横書きでも問題ありません。ただし、相手が読みやすいように、表面と裏面の縦横は統一しましょう。また、上司や取引先、ビジネス上の関係の方や年配の方には、横書きではマナー違反に当たるため、縦書きにしなければなりません。
家族やペットの写真が印刷された年賀状は、受け取った相手が温かい気持ちになります。とはいえ、相手の状況によっては写真を控える必要があります。「子どもの写真」は、不妊に悩んでいる方や、家族を亡くして間もない方、結婚に焦っている方には送らないようにしましょう。また、ビジネス上の関係の方にも控える必要があります。「ペットの写真」は、ペットを亡くして間もない方や動物嫌いの方に送ってしまうと、相手に不愉快な思いをさせてしまいます。写真の有無や内容は、必ずTPOに合わせましょう。
賀詞は正しく使おう
賀詞とは、年賀状の文頭に書く新年のお祝いの言葉のことです。賀詞には多様な種類があり、意味もそれぞれ異なるため、年賀状を送る相手に合わせて正しく使うことが大切です。
目上の方に用いる賀詞
- 「謹賀新年」
- 「謹賀新春」
- 「恭賀新年」
- 「敬頌新禧」
- 「謹んで新年のお慶びを申し上げます」
目下の人に用いる賀詞
- 「寿」「賀」「春」「禧」
- 「賀正」「賀春」「頌春」「迎春」「慶春」「寿春」「初春」「新春」
親しい人に用いる賀詞
- 「あけましておめでとう」
- 「Happy New Year」
共通して使える賀詞
- 「明けましておめでとうございます」
- 「謹んで新年をお祝いします」
- 「新年おめでとうございます」
- 「新春のお慶びを申し上げます」
- 「謹んで初春のお慶びを申し上げます」
- 「謹んで新春のご祝詞を申し上げます」
メッセージは送る相手に合わせよう
一言添えるメッセージは、送る相手に合わせましょう。メッセージを書く際に、「印刷されている内容とメッセージとが被らないようにすること」「相手に向けた気持ちが伝わるような話題を心がけること」の2点に気を付けることが重要です。
ご無沙汰している人に向けて
相手の魅力や個性を誉めると、その人だけに向けた、とっておきのメッセージを送ることができます。SNSからの情報に触れると、受け取った相手は日頃から自分の投稿を見てもらえているという安心感を覚えるでしょう。また、お誘いのメッセージを添えると、今後とも交流を続けていきたいという気持ちが伝わります。
友人や同僚に向けて
率直に親愛を示したメッセージは、受け取った相手に喜んでもらえます。また、共通の話題や相手の近況に触れ、それを掘り下げたメッセージにすることで、より親しみを持ってもらうことができます。
家族や親戚に向けて
それほど交流が多くない親戚には、相手の家族を気遣うメッセージがおすすめです。さらに、相手の今年の記念事を先回りしてお祝いすると、受け取った相手は覚えていてくれたことを嬉しく感じます。
上司や恩師に向けて
普段からお世話になっている上司や恩師に向けてメッセージを添えるなら、日頃は言いづらい感謝の気持ちをまっすぐに伝えると良いでしょう。「普段はなかなか伝えられないけど」というようなフレーズを入れると、感謝の気持ちがより伝わりやすくなります。
部下や後輩に向けて
激励の言葉をもらうと、誰でも勇気が出ます。相手のモチベーションが上がるような、ポジティブなメッセージにしましょう。相手の負担にならないように、明るく軽い調子の励ましの言葉にすることがポイントです。
初めの挨拶&一言メッセージ
文例を参考にして、相手に喜んでもらえる初めの挨拶と一言メッセージを書きましょう。
ここでは、以下の相手に合わせた初めの挨拶と一言メッセージをご紹介します。
定番
・初めの挨拶
- 新年おめでとうございます
- よき新春をお迎えのこととお喜び申し上げます
- 私共も家族一同元気に過ごしております
- 旧年中はひとかたならぬご厚誼を賜りまして大変ありがとうございました
- 本年も何とぞよろしくお願い申し上げます
・一言メッセージ
- 本年も良い年でありますようにお祈り申し上げます
親戚
・初めの挨拶
- 新春のおよろこびを申し上げます
- 皆様お揃いでよき新春を迎えられたことと存じます
- 昨年【相手続柄・敬称】にはひとかたならぬご厚情をいただき深く感謝いたしております
- 本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます
・一言メッセージ
- お体を大切にしてくださいね
恩師
・初めの挨拶
- 謹賀新年
- よき新春をお迎えのこととお喜び申し上げます
- 大変ご無沙汰しておりますが先生におかれましてはお元気で過ごされていることと存じます
- どうぞご自愛の上より一層のご活躍のほどを期待しております
- 本年もよろしくお願い申し上げます
・一言メッセージ
- おかげさまで忙しいながらも充実した日々を過ごしております
上司や先輩
・初めの挨拶
- 謹んで新年のご祝辞を申し上げます
- 旧年中は公私にわたって大変お世話になり心より感謝申し上げます
- 昨年中は並々ならぬご厚情を賜り厚く御礼申し上げます
- 本年も昨年同様ご指導のほどよろしくお願いいたします
- 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます
・一言メッセージ
- 旧年は温かくご指導くださり 誠にありがとうございました
取引先
・初めの挨拶
- 謹賀新年
- 旧年中はひとかたならぬご愛顧にあずかり誠にありがとうございました
- 本年も一層のサービス向上を目指し社員一同誠心誠意努める覚悟でございます
- なにとぞ本年も倍旧のご支援のほどお願い申し上げます
・一言メッセージ
- 本年も変わらぬご愛顧のほど心よりお願い申し上げます
同僚や友人
・初めの挨拶
- 新春のお喜びを申し上げます
- 皆様おすこやかに新春をお迎えのことと存じます
- 昨年は何かとお世話になりまして大変ありがとうございました
- 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます
・一言メッセージ
- 今年も飲みに行きましょう
【コラム】これだけは書いちゃダメ!危ない添え書き「忌み言葉」
年賀状の添え書きで、気を付けなくてはならないのが「忌み言葉」です。忌み言葉とは、おめでたい場では避けなければならない言葉のことを指します。例をあげると、「去る」「滅びる」「絶える」「衰える」「破れる」「失う」「枯れる」「倒れる」「病む」などです。従って、「別れる」「離れる」という意味を持つ「去」を含む「去年」という言葉は使わず、「昨年」「旧年」などと言い換えましょう。
まとめ
この記事では、年賀状の表裏の基本的な書き方や気を付けたいポイント、便利な文例についてご紹介しました。「はがきの縦横の向きと写真の有無を相手に合わせる」「賀詞や添えるメッセージを相手に合わせる」「忌み言葉などの基本的なルールに気を付ける」、主にこれら3つのポイントに気を付けて年賀状を書きましょう。相手の立場や状況に合わせた適切な内容を考えることで、相手の心に残る年賀状を送れると良いですね。
年賀状のマナーや上記以外の文例などを掲載しています