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年賀状の書き方

年賀状に対しては、「書き方のマナーが複雑で、準備に時間がかかるもの」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。しかし、実際はそう難しいことではなく、いくつかのマナーを守り、文例を参考にすれば、簡単に書くことができるのが年賀状です。この記事では、年賀状をいつ頃から準備すべきかに始まり、はがきの表裏の基本的な書き方、相手に合った賀詞やメッセージの選び方まで、網羅的に詳しく解説していきます。

準備はいつまでに終えるべき?

年賀状は元旦に届けたいものですが、マナーとしては松の内までに届けば問題ありません。元日に届くようにするためには、決められた期限内に投函する必要があります。ここでは、年賀状を届けるべき期間や、元日に届けてもらうための投函期限について解説します。

元旦から松の内までに届くようにしよう

年賀状は、三が日のうちに届くようにするのが理想的ですが、松の内までに届けば問題ありません。松の内は、関東地方では「1月7日」、関西地方では「1月15日」というように、地域によって差があります。1月7日までに届くようにするのが無難です。

年賀状の投函受付開始日は、12月15日です。年末は仕事や忘年会で忙しくなるため、年賀状を作成する時間を確保できないかもしれません。年賀状の作成で意外と時間がかかるのは、「送り先のリストアップ」です。送り先のリストアップは、11月上旬までには終えておきましょう。印刷屋に依頼する場合は、10月頃から早割キャンペーンを打ち出しているところも多いため、早めに準備すればキャンペーンを適用してもらえます。 

元旦に届けてもらうには12月25日までに出そう

年賀状を元日に届けたい場合は、12月25日までに投函する必要があります。しかし、年末は何かと忙しいため、遅れも見越して、投函受付開始日である12月15日を投函目標にしましょう。年賀状はがきは、例年10月末日か11月初日に発売されます。投函の期日が心配な方は、早めの準備をおすすめします。

知っておきたい年賀状の基本の書き方とポイント

年賀状の書き方には、いくつかの決まりやポイントがあります。それらをきちんと守るだけで、受け取った相手に良い印象を持ってもらえ、お互い新年を気持ちよく迎えることができます。以下では、宛名と裏面について、それぞれのポイントを解説します。 

宛名の書き方:全体のバランスに気を付けて丁寧に書く

宛名は、全体のバランスに気を付けて丁寧に書くことがポイントです。縦書きと横書きのどちらでも問題ありませんが、表面を縦書きにした場合は裏面も縦書きにする、というように統一しましょう。なお、上司や親類、目上の方に送る場合は、縦書きにする方が無難です。

送る相手が誰であっても、「宛名をテープやペンで修正すること」「二重線を引いて書き直すこと」「名前や会社名を省略すること」は、失礼に当たります。書き間違えてしまった場合は、新しい年賀はがきを使って書き直しましょう。書き間違えてしまった年賀状は、手数料を払えば郵便局で新品と交換してもらえます。

宛名住所は、郵便番号と右端をそろえ、宛名よりもやや高い位置から書き始めます。都道府県名は省略せずに全て書くのが正式なマナーです。上司や年配の親類など、特にマナーに気を付けたい相手に送る場合は、マンション名やビル名も省略せずに記載しましょう。建物名の前で改行し、改行後は住所より1文字下げて書くと、バランスが良くなります。

受け取り手の氏名は、住所や差出人の氏名より、やや大きめの字で目立つように書きましょう。個人名を書く際は、相手との関係性にかかわらず、「様」という敬称を入れます。

差出人の住所は、受け取り手の住所よりもさらに小さな字で、はがきの半分よりやや上くらいの位置から書き始めましょう。この書き始めの位置によって、相手に対してへりくだる姿勢を示せます。左下にある郵便番号欄に右端をそろえて書くと、バランスが良くなります。郵便番号欄の幅よりはみ出さないことと、差出人の住所と名前の末尾の高さを下揃えにすることがポイントです。

裏面の基本構成:5つの要素を入れる

裏面には、「賀詞」「謝辞」「新年の抱負か指導のお願い」「相手の健康や幸せ、繁栄を祈る言葉」「日付」、これらの5つの要素を入れましょう。

  • ①賀詞

    賀詞とはお祝いの言葉です。賀詞は年賀状の書き出しに用いられ、目立つように大きく書きます。賀詞には、漢語調、口語調、英文の3種類があります。目上の方や取引先、知人など、年賀状を送る相手との関係性によって用いる賀詞を合わせる必要があります。

  • ②謝辞

    賀詞の次は、お世話になったことに対する感謝の気持ちを述べます。以下の例文のように、丁寧な一言を添えましょう。

    ・旧年中はたいへんお世話になりました

    ・旧年中は格別のご愛顧を賜り誠にありがとうございました

    ・昨年は至らぬ私を親身にご指導いただき心から感謝しております

  • ③新年の抱負か指導のお願い

    謝辞を述べた後は、「新年の抱負」か「指導のお願い」を書き添えます。送る相手に適した言葉を選びましょう。

    ・これまでに賜ったご教訓を忘れず努力を続けてまいる所存です

    ・今年も何かとお世話になるかと存じますがどうぞよろしくお願い申し上げます

  • ④相手の健康や幸せ、繁栄を祈る言葉

    年賀状では、相手の健康や幸せ、繁栄を祈る言葉で締めくくります。

    ・今年がすばらしい年となりますようお祈り申し上げます

    ・ご尊家のご繁栄を心よりお祈りいたしております

  • ⑤日付

    年賀状の日付は、慣用的な表現が一般的に用いられます。なお、「1月元旦」という表記は、「1月1月1日」という意味になってしまうため誤りです。正しい書き方は以下のとおりです。

    ・令和◯年元旦

    ・新春吉日

今さら聞けない裏面のマナー

年賀状には、相手の状況や立場を考え、気の利いたメッセージを添えます。その際は、相手に不快感を与えないようマナーに注意しましょう。ここでは、

  • 相手のことを考えたメッセージ
  • 「忌み言葉」と言葉の重複

上記について、それぞれ例をあげて解説します。

相手のことを考えたメッセージを添えよう

  • ①相手を選ばずに送れるメッセージ

    相手のことを気遣う一言や、相手の幸せを願う一言、感謝の気持ちは無難です。

    ・風邪が流行っているようですからご自愛ください

    ・心豊かな一年になりますように

    ・旧年中は大変お世話になりました

  • ②上司に向けのメッセージ

    変わらぬ指導を願う一言や、より一層仕事に精進することを伝える一言が良いでしょう。

    ・本年もより一層仕事に精進してまいりますのでご指導のほどよろしくお願いします

    ・まだまだ未熟ものですが本年もよろしくお願いいたします

  • ③親戚に向けたメッセージ

    自身の家族の近況報告や、また会いたい旨を伝える内容が適しています。

    ・こちらはおかげさまで家族一同元気に過ごしております

    ・今年はお会いできるのを楽しみにしております

  • ④友人に向けたメッセージ

    近況報告や次に繋がる一言を添えます。

    ・今度また一緒にご飯に行きましょう

    ・転居しました

「忌み言葉」と言葉の重複は避けよう

年賀状を書く際は、「忌み言葉」と「言葉の重複」を避けましょう。

忌み言葉とは、おめでたい場では避けなければならない言葉のことです。以下が一般的な忌み言葉ですが、特に年賀状で注意したい忌み言葉は、「去」を含んでいる「去年」という言葉です。「昨年」や「旧年」と言い換える必要があります。

  • 死、血、無(梨も含む)、摩、魔、切、去(猿も含む)、終、割、悪、戻、朽、壊、
  • 敗、破、崩、別、離、戻、帰、飽、滅、苦、往、逝、痛、冷、散、悲、流、重、浅、
  • 薄、嫌、疎、褪、倒、消、詰、負、失、寂、弱、枯、閉、倒、病、衰、折

言葉の重複は、「新年あけまして」「2〇〇〇年1月1日元旦」「令和〇年1月元旦」がそれにあたります。「あけまして」には「新年」の意味が含まれているため、一度に両方用いることはできません。同様に、「元旦」には「1年で最初の朝」の意味が含まれているため、「1月」や「1月1日」は必要ありません。

賀詞の種類と使い方

賀詞は、相手や相手の状況に合わせて使い分ける必要があります。ここでは、

  • 相手を選ばず使えるもの
  • 目上の人向け
  • 目下の人向け
  • 親しい人向け
  • おめでたい言葉が使えない場合

上記について、それぞれの文例をご紹介します。

相手を選ばず使えるもの

  • 「明けましておめでとうございます」
  • 「謹んで新年をお祝いします」
  • 「新年おめでとうございます」
  • 「新春のお慶びを申し上げます」
  • 「謹んで初春のお慶びを申し上げます」
  • 「謹んで新春のご祝詞を申し上げます」
  • 「Happy New Year」

目上の人向け

  • 「謹賀新年」
  • 「謹賀新春」
  • 「恭賀新年」
  • 「敬頌新禧」
  • 「謹んで新年のお慶びを申し上げます」

目下の人向け

  • 「寿」「賀」「春」「禧」「賀正」「賀春」
  • 「頌春」「迎春」「慶春」「寿春」「初春」「新春」

親しい人向け

  • 「あけましておめでとう」

おめでたい言葉が使えない場合

  • 「笑門来福」「一陽来復」
  • 「謹んで年始(年頭)のご挨拶を申し上げます」
  • 「幸多き年でありますようにお祈りいたします」

シーン別挨拶文・メッセージ文例集

文例を参考にすることで、年賀状を簡単に書くことができます。ここでは、

  • 定番
  • ビジネス
  • 報告
  • 年賀状の返事

上記のそれぞれのシーン別に、挨拶文と気の利いたメッセージの文例をご紹介します。

定番

  • あけましておめでとうございます
  • 旧年中は大変お世話になりました
  • 本年もよろしくお願い申し上げます

ビジネス

  • 謹んで新春のお慶びを申し上げます
  • 旧年中は公私に渡るご高配を賜り心より感謝いたします
  • 本年もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます
  • お仕事をご一緒したことで多くを学ぶことができました
  • 本年はさらなる期待に応えられるよう仕事に励む所存です
  • 末筆ながらますますのご健勝とご多幸をお祈り申し上げます

報告

  • 年頭のご挨拶を申し上げます
  • 昨年は大変お世話になり誠にありがとうございます
  • 本年もよろしくお願い申し上げます
  • このたび〇〇へ転居いたしました
  • お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください
  • 新居にてお会いできること楽しみにしております

年賀状の返事

  • 良き新年をお迎えのこととお慶び申し上げます
  • ご丁寧に年賀状をいただき誠にありがとうございます
  • このたびは年賀のご挨拶が遅れましたこと大変申し訳ございません
  • 本年も変わらぬお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます

【コラム】年賀状を出すのが遅くなってしまったらどうするべき?

年賀状や年賀状の返事は、松の内の間に届くようにしなければなりません。この期間を過ぎてしまった場合は「寒中見舞い」を、立春を過ぎてしまった場合は2月末までに「余寒見舞い」として出しましょう。
寒中見舞いを出す場合は、市販の寒中見舞いはがきを用います。新年を祝う言葉は使わず、相手のことを気遣う内容を書きましょう。年賀状をもらったお礼を伝える場合は、1文でさらっと書き添えます。

まとめ

年賀状は、元旦から松の内までに届くように準備をするのがおすすめです。確実に元旦に届けたいのであれば、準備の遅れも見越して、12月15日頃を投函目標にしましょう。この記事でご紹介した、はがきの書き方の基本ルール、年賀状で控えるべき表現やマナー、相手やシーンに合わせた賀詞の選び方を踏まえて、適切なメッセージを添えた素敵な年賀状を作成してくださいね。今年の年賀状の投函によって、送る相手と今後も良い関係が続くことを願っています。

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